消防法令適合通知書を受理しました――別荘を民泊として利用する際の注意点
みなさん、こんにちは。行政書士・エテルニア・リーガル・アソシエイツです。
首都圏にお住まいのお客様から、「長野県内に別荘を持っているのですが、その物件を住宅宿泊事業(以下「民泊」といいます。)で利活用したい」というお問い合わせをいただくことがあります。
もちろん、当事務所でもそういったご相談・手続に対応していますが、別荘を民泊として利用する場合には、事前に確認しておきたいことがあります。この点については、以前のブログでも少しご紹介しました。
今回は、その続きのお話です。
民泊を始める前に、消防署への確認が必要です
旅館業や家主不在型の住宅宿泊事業を始める場合、自治体への申請・届出に先立って、消防署への相談や消防法令適合通知書の取得が必要となる場合があります。
消防法令適合通知書は、防火対象物が消防法令に適合していることについて、消防機関が確認したうえで交付されるものです。
これは「防火対象物使用開始届」とは別の手続です。
また、確認されるのは、単に消火器や火災報知設備などの消防設備だけではありません。建物の使用状況や、防火上必要となる設備・構造等についても確認が行われます。
そのため、特に“家主不在型”の民泊では、消防法令上、原則として旅館・ホテル・宿泊所等と同じ別表第一(5)項イの用途として扱われるため、これまで普通の別荘として使用していた建物であっても、消防用設備等の設置など、新たな対応が必要となることがあります。
「普通の別荘だから大丈夫」とは限りません
首都圏にお住まいの方が、当事務所の近隣にある別荘地の中古物件を購入し、それを民泊として利用したいというご相談は少なくありません。
しかし、物件によっては、消防署による確認の際に対応が必要となる場合があります。
個人の別荘として利用しているだけであれば、消防署による立入確認を受ける機会はそれほど多くないかもしれません。
ところが、民泊という事業用途で使用することになると、話が変わってきます。
例えば、
火災報知設備等の設置場所
カーテンやじゅうたん等の防炎性能
換気設備の構造
薪ストーブの設置状況
薪ストーブ周辺の壁・床等の構造
煙突の設置方法
などについて確認や対応が必要となることがあります。
また、これらについては消防法だけでなく、自治体の条例等が関係する場合もあります。
したがって、「以前から別荘として問題なく使用していたから大丈夫」と考えるのではなく、民泊として利用する予定があるのであれば、物件ごとに事前に確認しておくことが重要です。
今回は薪ストーブと煙突の確認に時間がかかりました
今回、当事務所では、民泊に係る消防法令適合通知書の取得について、関連する手続をまとめて受任しました。ところが、通知書が交付されるまでには、かなりの時間を要しました。
その主な理由となったのが、薪ストーブの設置位置とその周辺の構造、そして煙突の設置方法です。
薪ストーブについては、消防署から指摘を受けた後、その内容に合わせて現状を変更する必要がありました。
ここで問題になるのは、消防署から指摘を受けてから改善する場合、内容によっては時間も費用もかかるということです。
改善後の状態を写真などで確認してもらい、現地での再確認を行わずに手続が進む場合もありますが、改善内容によっては、改めて現地で確認を受ける必要が生じることもあります。
そうなると、関係者が再び日程を調整する必要がありますし、立会いのための交通費等も発生します。
また、行政書士が現地での立会いや追加対応を行う場合には、そのための報酬が別途必要となることもあります。
結果として、最初から適切に確認しておけば避けられた時間や費用が発生してしまう可能性があります。
設置する前に消防へ相談することが大切です
今回の経験からも、時間や手間をできるだけ少なくしたいのであれば、設備を設置する前に、消防署へ資料をそろえて相談しておくことが重要だと感じました。
これは消防設備を設置する場合も同様です。
設備業者や薪ストーブの設置業者が、メーカーの仕様や施工基準に基づいて設置した場合であっても、民泊として使用する建物については、消防法令や自治体の条例等との関係で追加の対応が必要となることがあります。
メーカーの設置仕様書には、壁や床からの離隔距離など、それぞれの機器について必要な数値が記載されています。
しかし、メーカーの設置仕様を満たしていることと、消防法令上の基準を満たしていることは、必ずしも同じではありません。
今回も、設置後に消防署からいくつかの指摘があり、追加の対応や確認が必要となりました。
そのため、これから民泊を始めるために消防設備や薪ストーブ等を新たに設置する場合には、先に消防署へ相談し、必要な資料や設置予定図面等を確認してもらったうえで工事を進めることをおすすめします。
特に、中古の別荘を購入して民泊として利用する場合には、購入後に対応するのではなく、可能であれば購入前の段階から、消防上の問題がないか確認しておくことが大切です。
物件そのものに問題がなくても、事業用途への変更に伴って追加の設備や改修が必要となることがあります。
今回、無事に消防法令適合通知書を受理することができました。
民泊は、住宅をそのまま宿泊施設として使えるというわけではありません。
物件の所在地や建物の構造、利用形態などによって、確認すべき法令や条例、必要となる設備が変わってきます。
これから別荘を民泊として活用したいとお考えの方は、物件を購入した後、あるいは設備を設置した後に対応するのではなく、できるだけ早い段階で関係機関に相談することをおすすめします。
最後に、今回取得した消防法令適合通知書を掲載します。
個人情報や物件を特定できる情報、消防機関を特定できる情報等については、黒塗りにしています。
実際にどのような書類が交付されるのか、その一例としてご覧ください。




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