民泊・旅館業の開業で見落としがちな消防手続きとは?
- 5 日前
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こんにちは。行政書士・エテルニア・リーガル・アソシエイツです。
住宅宿泊事業(以下「民泊」といいます。)や旅館業を始めようとすると、消防や建築など様々な手続きが必要になります。
その中でも、「名称が似ていて勘違いしやすい手続き」があります。今回は、実際にお問い合わせでも混同されることの多い消防関係の手続きについてご紹介します。
当事務所の周辺には別荘をお持ちの方も多く、「別荘を民泊として活用したい」というご相談をいただくことがあります。
民泊や旅館業を始める際には、事業を行う方(個人・法人)、立地、建物の状況、そして関係法令など、多くの確認事項があります。今回はその中でも、事前に準備が必要となる消防関係と建物に関する手続きについてお話しします。
今回は当事務所のある長野県でのお話です。
民泊・旅館業ともに「消防法令適合通知書」の交付を受けるため、建物を管轄する消防署へ申請を行います。その後、消防署による現地確認が行われ、問題がなければ消防法令適合通知書が交付され、それを添付書類の一つとして都道府県へ申請することになります。
ここで、よく似た名称の手続きとして「防火対象物使用開始届出」があります。
これは主に飲食店や事務所、旅館などの事業を始める際に、その建物に必要な消防設備(誘導灯や自動火災報知設備など)が適切に設置されているかを消防署に届け出るためのものです。(事業承継や用途変更などによって取扱いが異なる場合がありますが、今回は割愛します。)
この届出は、都道府県への申請書類として添付する「消防法令適合通知書」とは別の手続きです。
文字で見ると違いは分かりますが、電話などで説明を受けると意外と区別がつきにくい名称です。
設備業者へ「民泊に必要な消防設備の設置と届出をお願いします」と依頼した場合でも、その業者が行ってくれるのは「防火対象物使用開始届出」までなのか、それとも「消防法令適合通知書」の取得に必要な消防署との調整まで対応してくれるのかは、事前に確認しておくことをお勧めします。
後日、消防署から「消防法令適合通知は申請されていますか。」と確認され、「防火対象物使用開始届出とは別なのですか。」となってしまうケースも考えられます。
また、設備業者から「消防法令適合通知については行政書士などにご依頼ください。」と言われることもあります。
一方、「消防法令適合通知」は、誘導灯や自動火災報知設備などの消防設備だけでなく、その建物全体が消防法や建築基準法などの観点から、宿泊事業を営む上で問題がないかを消防署が確認するものです。
対象となるのは消防設備だけではありません。防炎性能が求められるカーテンなども確認の対象となります。
通常は、防火対象物使用開始届出に伴う現地確認と消防法令適合通知の現地確認は、同日にまとめて実施されることが多いと思われます。事業主と消防署双方の日程調整が必要であり、事業主が県外にお住まいの場合も少なくないためです。
また、消防法令適合通知の申請では、建物の状態によって注意すべき点があります。
特に中古住宅や別荘を活用される場合は注意が必要です。
例えば、換気扇のダクトや薪ストーブ、その煙突などがDIYで施工されている建物では、住宅として利用している間は問題にならなかった箇所でも、宿泊事業として利用する際には消防法令や建築基準法上の確認や是正が必要となることがあります。
防火対象物使用開始届出も消防法令適合通知も、まずは管轄の消防署へ事前に相談されることをお勧めします。
実際には、設備業者が設置した設備であっても、現地確認の際に追加設置や設置位置の変更を求められることがあります。その結果、数万円程度の追加費用が発生することも珍しくありません。
また、消防法令適合通知においても、普段の生活では気にならなかった箇所について、修繕や改修が必要と判断されることがあります。
そして最も注意しなければならないのは、建物や土地の条件によっては、そもそも民泊や旅館業を営むことができない場合があることです。
各自治体では条例による独自の規制を設けていることもありますので、消防だけでなく、建築や都市計画、条例なども含めて事前に確認しておくことが大切です。
民泊や旅館業は、「設備を整えればすぐに始められる」というものではありません。
開業準備が進んでから想定外の指摘を受けると、追加工事やスケジュールの見直しが必要になることもあります。
「あとで直せばいい」ではなく、「始める前に確認する」。
これが、スムーズな開業への近道です。
当事務所では、机上で書類を確認するだけではなく、現地を確認した上で、消防署・保健所などの関係機関と事前協議を行い、手続きを進めています。建物は図面どおりとは限らず、現地で初めて分かる点も少なくありません。一つひとつ確認を重ねながら進めることが、結果としてスムーズな開業につながると考えています。
今後も、民泊・旅館業の開業で見落としやすいポイントや、実務上よくあるご質問についてご紹介してまいります。
「知らなかった」で手続きが止まらないように。これからも実務に役立つ情報をお届けしてまいります。



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